行き詰まったら、まず『諦める』。そして積み重ねた時間が、一人前の美容師をつくる。 LONESS 片山良平のびよう道

時間をかけてたどり着いた一人前

 

 

一人前になったと感じたのは、30歳を超えてからのことです。独立したから一人前になった、というわけではありません。美容師として10年近くの経験を積み、どんなお客さまが来ても、どんなスタイルをオーダーされても対応できるようになった。その実感を持てるようになった頃に、ようやく一人前になれたのかなと思えるようになりました。それは単純に、施術数だけの話ではありません。年齢を重ねるなかで、さまざまなデザインに触れ、感性を磨き、多くのお客さまと向き合い続けてきた。その積み重ねがあったからこそ、オールジャンルに対応できる幅が広がっていったのだと思います。

一人前の定義は人それぞれです。ただ、僕自身の経験から言えるのは、そうやって視野を広げ、自身の幅を広げていくためには、一定の時間が必要だということです。

 

 

面倒なことから逃げないで、継続すること。人生はあっという間

 

 

若い美容師さんたちに伝えたいのは、とにかく面倒なことから逃げないでほしいということです。僕自身、これまで面倒なことをたくさんやってきました。でも、面倒なことって大抵の場合、他の人はやらないんですよね。だからこそ勝機がある。

 

技術ももちろん大事です。でも同じくらい大事なのが経験です。どれだけいろんなことを経験してきて、人を喜ばせる力が備わっているか。その差が、最終的には美容師としての魅力になると思っています。だから近道を探そうとしなくていい。今はすぐに結果を出したくなる時代かもしれません。でも、いきなりレベルが10上がるような方法はないんじゃないかな。結局は、目の前のことを一つひとつ積み重ねていくしかないし、それで、ふと気づいたら高いところまで上がっているほうが楽しい。継続は力なりと言いますが、本当にその通りだと思います。やる理由を考え続けるより、まずやってみる。行動して、失敗して、またやる。その繰り返しが自分を成長させてくれます。

 

そして、先輩の話はぜひ聞いてほしいですね。僕は30代半ばになってようやく気づいたのですが、先輩の言葉には、自分がまだ経験していない未来が詰まっています。いわばタイムマシーンみたいなもの。全部を鵜呑みにする必要はありませんが、自分より先を歩いてきた人の話には必ずヒントがあります。

 

 

振り返れば、人生なんて本当にあっという間です。辛いことも、上手くいかないことも、そのときは長く感じるけれど、後から思えば一瞬なんですよね。だからこそ、今をめちゃくちゃ頑張ってほしい。

面倒なことをやる。継続する。経験する。先輩の話を聞く。そんな積み重ねが、成長につながり、いつか大きな差になります。

 

プロフィール
LONESS/オーナー
片山良平(かたやま りょうへい)

名古屋美容専門学校を卒業後、渡英、帰国後に表参道有名店でクリエイティブディレクターを経て、2016年に本田治彦氏とともに独立。「今までの日常をブラッシュアップさせる」をテーマに、技術だけでなく空間にもこだわったコンセプトサロン『LONESS』を表参道にオープンさせる。2019年には2店舗目となる『LONESS ginza』を2021年4月に渋谷に「nana loness」をオープン。サロンワークを中心に一般誌、業界誌の撮影、芸能関係のヘアデザイン等で幅広く活躍している。

 

(文/富樫聡美  撮影/菊池麻美)

 

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