【太市氏へのオマージュ】かつてのカリスマブームを牽引した表参道のサロン『Side Burn』で紡がれた、知られざる師弟ストーリー。

その人を想って切るのが、サイドバーンのスタイル

 

 

前職でスタイリストデビューはしていましたが、サイドバーンではアシスタントから始めて、サイドバーンのスタイルというものを叩き込みました。当時は、太市さんから「恋人は作るな」「美容に専念しろ」とよく言われていましたね。僕の性格がまっすぐなので、他の方向にいくと仕事に集中できないことを見抜いていたんだと思います。デビューまでは5年かかりました。長いですよね。でも、僕の中では30歳までにスタイリストになればいいと思っていたので、そこはクリアできた感じです。

 

 

デビューしてからしばらく経って、太市さんが「成長したな」と言ってくれて、すごく嬉しかったですね。可愛がられていたのかは正直分からないですけど、僕を必要としてくれていたんじゃないかなと思います。自分は特別おしゃれでもないですし、しゃべりも得意ではないので、逆にゼロでいたいと思っているんです。自然体で、装わないようにしていますね。情熱を持ち続けることや、その人の人生が良くなるスタイル作りはいつも意識しています。“お客さま”というより、身内を切っているようなイメージです。

 

 

太市さんがいなくなってから半年経ちましたが、ある程度、サイドバーンの新たなフェーズの基盤はできてきたかなと思います。うちは集客サイトを使わないサロンですが、口コミで新規のお客さまも来てくれますし、来てくれた人を捕まえる自信もあるので、地道にコツコツやっていきたいですね。その人のことを想って切り続ければ、きっと大丈夫だと思っています。

 

プロフィール
奥川勝広(おくがわ かつひろ)/Side Burnスタイリスト

1985年、静岡県生まれ。静岡の美容専門学校を卒業後、上京して都内のサロンに入社。そこから4年間の猛烈なアプローチを経て、2011年に念願の『Side Burn』に入社。“人”にフォーカスしたスタイル作りで、おしゃれ好きな大勢の顧客に愛される人気スタイリスト。

@katsuhirookugawa.sideburn

 

(文/織田みゆき photo/菊池麻美)

 

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