「“今っぽい”を作れる、すごいおじさん」枠の2人。vacilando細井豊×PIX HAIR白神裕己が語る、美容師の表現論-soucutsの庭 Vol.6-

左から細井さん、内田さん、白神さん
LECO代表・内田聡一郎(うちだそういちろう)さんのPodcast「soucutsの庭」。大御所から同世代、さらには若い世代まで。幅広い層の美容師をゲストに迎え、今考えていること、そして普段はなかなか語られることのない“思考の奥”までを、MCである内田さんがじっくりと引き出していきます。リクエストQJでは、そのPodcastの模様を記事としてお届け中!
今回のゲストは、確かな技術とそのセンスで、若手美容師からベテランまで支持を集めるvacilando(ヴァシランド)の細井豊(ほそいゆたか)さんと、PIX HAIR(ピックスヘアー)の白神裕己(しらかみゆうき)さん。サロンワークを軸にしながら、常に“今っぽい”デザインを発信し続ける二人は、なぜ多くの美容師の憧れであり続けるのか。クリエイティブとサロンワーク、それぞれの経験を経てたどり着いたデザイン論や美容師観について内田さんが迫ります。公私ともに仲が良いという細井さんと白神さんの軽快な掛け合いにも注目です!
細井さんと白神さんの馴れ初め

内田:今回のゲストは、僕が知る限り、今美容師から「もっとも上手い美容師」として高く評価されているお二人なんじゃないかと思っています。僕自身も普段からその仕事を見ていて、本当に技術が高いなと感じていますし、一美容師として今一番気になっているお二人です。そんなお二人をお呼びしました!
細井:vacilandoの細井です!
白神:東京でPIX HAIR、岡山でe’pine(イピン)というサロンをやっています、白神です。よろしくお願いします!
内田:普段から交流はあるんですけど、正直、僕は二人がふざけているところしか見たことがなくて(笑)。ちょけ担当なのも知ってるんですけど、今日はしっかり真面目な話をしてもらいますよ。
細井:はい! 真面目しかないですからね。僕ら、ずっと真面目です。周りが勝手に「ふざけてる」って思ってるだけで(笑)。実際、カットの話を2時間くらいずっとしていたこともありますから。
白神:そうそう。電話で3時間くらい話しましたよね。「それわかる!」「そうそう!」みたいな感じで。意外と真面目な話ばっかりしてるんですよ。ただ、細井さんがそっち側に持っていっちゃうんですよね(笑)。
内田:確かにね(笑)。ちょっと前に3人で飲んだじゃないですか。その時も、細井が大体ちょけて、そこに意外とシラちゃんが合わせてくみたいな感じだったよね。
白神:僕、お酒飲めないんで、基本的にノンアルコールなんですよ。でも細井さん、どんどん酔っ払って、ヘンテコになってくじゃないですか。
細井:でもまあ、今日はね、ちゃんとやるんで。
内田&白神:できるのかな…(笑)
内田:このラジオは毎回テーマを設けていて。今回は、「ポストクリエイティブの現在」っていう、すごい堅苦しいもの。なんでこういうテーマにしたかというと、お二方はサロンワーカーとしての延長線上で表現をしていて、それが美容業界ですごく評価されているんじゃないかと思っていてなおかつ、クリエイティブの世界もしっかり通ってきているじゃないですか。そこに対するリスペクトもあるけど、どこかアンチテーゼみたいなものも感じていて。僕はそこがすごく面白いなと思っているんです。
そんな2人に、今日はどんなことを考えているのか聞きたいなって。まず2人の関係から整理しようかな。出会いとか印象はどんな感じだったの?

細井:出会いは、共通の知り合いのヘアメイクの友達がいて。その子が東京にいるときに髪を切りに来てくれていたんですけど、その時によく、「シラが、シラが」っていうワードを出してくるから、「シラって誰やろな」ってずっと思ってたんですけど。で、あるとき業界誌を開いたら、うわ、このページめちゃくちゃオシャレじゃんって思ったページに、「白神」って。
白神:え、それ何年前くらい? 7、8年くらい前じゃない? 多分創作を一番やってた時期だと思う。
細井:で、「うわ、こいつこの見た目でこんな繊細なもん作るんだ…」ってシンプルに思っちゃって。「うわ、こいつ上手いかも…」って。そのあと、そのヘアメイクの子が来たときに色々話を聞いたんですけど、そこからなんで実際に出会ったのかは忘れちゃいました(笑)。
白神:僕は、SNS上で細井さんをずっと知ってたんですよ、もちろん。今は東京にもお店がありますけど、去年まではずっと岡山でやってきたので、ウッチーさんもそうだし、細井さんもそうですけど、東京の美容師さんって誌面とかSNSで見る機会しかなかったんです。たまたまヘアメイクの友達もいたので、そういうところから細井さんの話を聞いていて。なんというか、僕がずっと好きだった質感にすごく近いというか、僕が作りたい質感を表現している美容師さんが細井さんだったんですよ。だからずっと見ていました。
でも実際にこうやって密に連絡を取らせてもらったり、仲良くさせてもらうようになったのは、多分4年くらい前ですよね?
内田:何がきっかけなの?
細井:ピザを送ってくれた!

白神:あ、そうだ! 僕、ピザ屋もやってるんですけど。あれ、でもピザを送ったから仲良くなったわけじゃないですよ(笑)。だって、やり取りしてなかったらピザ送れないじゃないですか。
細井:お客さんを紹介してくれたりもしたのかな。直接会ってはいなかったんですけど、クラブハウスとかあったじゃないですか。ああいうところで関係ができてきて、お客さんを紹介し合ったり、ピザを送ってくれたりして。それで、「じゃあ東京で会いましょう」ってなった時は、ちょっと緊張したもんね(笑)。
白神:結構緊張しました(笑)。
細井:飲みに行こうって誘ったら、「僕、お酒飲めないんです」って言うから、「じゃあ、どうやって仲良くなればいいんだろう……」って思った記憶があります(笑)。
内田:シラ君の方が後輩だもんね?
白神:全然後輩です。
内田:インターネット上では仲良かったけど、ちゃんと会ったのは本当に最近なんだ。二人で会ったの?
白神:二人だったと思います。どんな話をしたかは全然覚えてないですけど(笑)。
細井:ちょっと覚えてないね(笑)。でも、そこからは絶対月に1回は会ってるよね。
白神:会ってる。すぐ連絡してくるんですよ。細井さん、友達いないのかなって思うくらい(笑)。
細井:逆、逆!(笑) シラ君がめっちゃ電話してくるんですよ。
白神:え、本当?(笑) 俺かな……。

内田:そんなイチャイチャした馴れ初めはいいんですけど(笑)。おじさん二人の、付き合う前の馴れ初めみたいな話になってるじゃないですか(笑)。
細井:彼は独立がすごく早かったじゃないですか。僕は独立したのが去年なので、それこそ色々相談していて。「お金ってどうやって借りたらいいの?」とか(笑)。
白神:本当に、「こんな無知な人が会社できるのかな」って思いました(笑)。
内田:それくらい無謀だった?(笑)
細井:いや、無謀というか、貯金だけで全部どうにかしようと思ってたんですよ。それで、「シラ君、俺これでいけそうなんだけど、お金って借りた方がいいのかな?」って聞いたら、「馬鹿なんすか?」って(笑)。
内田:経営というか、出店の相談をよくしてたんだ。
白神:そうですね。僕ですら、まあまあ経営はできていたんですけど、「この人、無理かもしれない……」って初めて思いました(笑)。スタッフもいるし、さすがに心配だったので、「僕が全部教えるから、今どういう状況なのか全部言ってください」って伝えたんですよ。
内田:細井は、HEAVENSの傘下でブランドを立ち上げて、その後自分で引き取ったっていう形だよね。その過程で、お金のこととか経営のことをシラ君に相談していたんだ。
そこでさらに仲が深まって。
白神:そうだと思います。プライベートでもしょっちゅう会いますし、一緒にセミナーをやらせてもらうこともありますし。