「普通って誰が決めるの?」 クリエイションで唯一無二を貫く、QUQU浦さやか×niko hair氏川りの の頭の中−soucutsの庭Vol.8−
作品作りは、💩!?

内田:ここで、いったん今日のテーマに戻そうかな。最近、僕がラジオでずっと考えているのが、「そもそも、なんでクリエイションをやるんだろう」「作るって、なんで必要なんだろう」ということ。そこで今日は、2人にとって「作る」ってどういう意味があるのかを聞いてみたくて。浦さんは、どちらかというと、自分が想像したものを形にしたい人ですよね。そこに評価はあまり必要としていないように見える。自分が作り終えたら、それで完結するタイプというか。
浦:あんまり振り返らないよね。
内田:だから、誰かに「いいね」って言われることも、そこまで重要じゃないのかなって。
浦:いや、「いい」と思われたらそれは嬉しいけど。でも一番大事なのは自己評価かな。だから、ビジネスとしては成立しないタイプの人かも。
内田:だからアーティスト気質というか、想像するのが好きっていうイメージがあって。一方でりのちゃんは、誰かのために恩返ししたいとか、求められていることに対してやりたいっていうのが原動力で。似ているようで、違うなって。そこはお二人どうですか?なぜ作るのか。求められるという意味では、サロンワークでも求められているじゃないですか。
浦:サロンワークは、求められている喜びが一番だけど、ヘアショーに関しては求められてなくても自分でやる。もっとやりたいし、もっと好きにやりたかったから始めたことでもあるから。自己満はかなりあると思うんだけど。なんだろう、私、あんまり深く考えてないから。何事にも理由をすごい聞かれるんだけど、文脈とかさ。
内田:俺がよくいうやつね(笑)
浦:見る人は、文脈とか背景とかよりも、視覚や感覚でしか最初は受け取らないから、私はそれを最優先しちゃう。だから何事も深く考えてないかな。説明ができない。
内田:りのちゃんは、もうちょっと文脈とか大事にしそうな雰囲気を感じるけど、どう?
氏川:今、その質問をされて気づいたんですけど、私は毎回、「届けたい人」がいるんですよね。誰の心を動かしたいのかを考えている。受賞したいというだけじゃなくて、例えば「この二人に評価されたい」「面白いって思ってもらいたい」とか。ヘアショーも、「この人に感動してほしい」という相手がいて、その人に向かってつくっている感覚なんです。
でも、作品撮りはまた別なんですよね。好き勝手につくっているので……これ、言っていいのかな(笑)。
作品って、私にとってはうんちみたいなものなんです(笑)。いろんな情報や刺激を取り入れて、それが自分の中に溜まって、最後に「プリッ」と出てきたもの(笑)。だから、特別なものではなくて、すごく自然なアウトプットなんです。誰かに向けてつくる時は、その相手に向かってつくる。でも、ただ自由にやっている作品撮りは、本当にうんちみたいな感覚なんですよ(笑)。
浦:じゃあ、この本もうんち集?(笑)

内田:今、目の前に『氏川ブック』があるんですよ。せっかくだから、これを作ったきっかけや理由も聞いていいですか?
氏川:美容師以外のお仕事で、ヘアメイクやファッションの現場に呼んでいただくことがあって。その時に、「誰かの下で振られた仕事をするんじゃなくて、自分の世界観を気に入ってくれた人から仕事をいただきたい」と思ったんです。だから、自分の世界観を形にして、それを好きだと思ってくれる人に届けたい。その思いで始めました。あとは、気まぐれに作品をつくっても記憶には残らないと思ったので、「しつこく続けよう」と決めて。1年間、毎月3作品ずつ。全部で36作品を制作しました。
浦:すごいよね。日本の昔話をモチーフにした作品が多いよね。
氏川:はい。去年は昔話をテーマにしていました。
浦:ヘアショーでも昔話をやってたよね。
内田:『鶴の恩返し』だよね。表紙の作品もそうだ。
氏川:そうなんです。私は毎年テーマを決めているんですよ。自分の中でルールや制約をつくって、その中で作品をつくるようにしています。
内田:これだけ作品をアウトプットして、一冊の作品集という形にするっていうことは、やっぱり誰かに届けたい気持ちがあるんだね。
氏川:そうですね。協力してくれたモデルさんもたくさんいますし、場所や衣装を貸してくださった方、アシスタントとして手伝ってくれた方もいます。そういう人たちに、この本が手元に届いたらうれしいじゃないですか。モデルさんも、自分が載っている作品を額に入れて飾れるようにしたかったので、この本はあえて紐とじにはしていないんです。感謝を形にして届けたい、という思いもありました。
内田:本当に、「こういうものを作りたい」と思ったら、最後まで形にしてやり切る。その完成度も含めて、そこが氏川りのの強さなんですよね。
浦:りのちゃんって、本当にフットワークが軽いよね。
内田:そういう意味では、浦さんもU/P(浦さんが手がけるヘアアクセサリーブランド)を作ったりね。
浦:そうだ。今日、りのちゃんにU/Pのお土産を持ってきたの。はい!

(ここからは、浦さんが氏川さんへプレゼントしたカチューシャの話でひと盛り上がり。氏川さんはU/Pの商品をこれまでに2度購入しており、そのお礼として浦さんがプレゼントを用意していたという、和やかなやりとりが続きます)
内田:あのー、ラジオなんでね(笑)。カチューシャがどれだけかわいくても、残念ながら全然伝わらないんですよ(笑)。でも、ここまで形にして昇華させるのが、お二人の強さですよね。作りたいものを最後まで作り切る。U/Pも、販売するたびにすぐ完売するじゃないですか。
浦:だからやってよかったなあって。コロナの時に2週間くらいお店が休みになって、何もしていないのが嫌で作り始めて。そしたら意外と売れちゃって。味占めちゃった(笑)
内田:こういうのを作る時は、何かを参考にするんですか?思うままに作るんですか?
浦:うん、連ドラ見ながら作る。
内田:こういうデザインにしようとか、こういう形にしようとかはどうやって決めてるの?
浦:ノリだね。「今回はカチューシャにしよう」とか、「ドレッドはあんまり売れないから三つ編みがいいかな」とか。そのくらいは考える。
3人のインプットのやり方

内田:ここで、また今日のテーマに戻るんですけど。僕が見ていて思うのは、氏川さんってものすごくインプットしている人なんですよ。一方で、浦さんはあまりインプットしない。……と言うと語弊があるけど、世の中の情報を大量に取りにいくタイプではないですよね。逆に、氏川りのは本当にいろんなものを見ている。僕も裏アカウントで、面白いアーティストやクリエイターをたくさんフォローしているんですけど、大体、氏川りのが先にフォローしてるんですよ(笑)。フォロー数も何千人単位ですよね。常にアンテナを張っていろんな情報を集めて、そこから自分のフィルターを通して氏川りのの作品が生まれているように見える。一方で浦さんは、普段見ていても、連続ドラマみたいに自分が好きなものにはものすごく没頭するけど……。
浦:何回も見ちゃう、同じの。
内田:そうそう。宮崎駿作品とかね。
浦さんって、好きなものにはとことん没頭するけど、興味の幅はすごく狭い。だから不思議なんですよ。二人は全然タイプが違うのに、どこか似ている。りのちゃんは、いろんなものをインプットするタイプですよね?
氏川:そうですね。音楽もよく聴きます。でも、Netflixには入ってないし、ドラマも見ない。家にテレビもないんですよ。
浦:みんな最近、家にTVないね。面白いのに〜!
内田:でも、情報自体はたくさん取り入れてるでしょ?
氏川:そうだと思います。一緒に仕事をしているアパレルの方にも、「新しいブランド、絶対フォローしてるよね」ってよく言われます。たぶん私、アドレナリン中毒なんですよ。「面白い」「新しい」って感じると気持ちよくなるから、そういうものをずっと探している。アーティストでも、ブランドでも、表現方法でも。常にそういう刺激を求めているところはあると思います。
内田:参考にしようと思って見ているわけではない?
氏川:あんまりないんですけど、結局いろんなものを見ているから、自分の肥やしにはなっているんだと思います。
内田:音楽もいろんなのをいっぱい聴いてるじゃないですか。僕もどちらかというと同じタイプで、いろんなものを吸収して、自分のフィルターを通して編集しながら、自分のエッセンスにしていく。このラジオでもずっと話しているんですけど、それがある意味、美容師のクリエイティブとして王道の姿勢だと思っているんです。だからこそ、浦さやか的な「何も見ていないのに、無から生まれてくる」感覚がすごく面白い。

浦:無ではないよ。好きなものを何回も見ちゃうから。でもまあ確かに、SNSもあまり見ないし、美術館もそんなに好きじゃない。
内田:ファッションブランドをフォローするとかもないじゃないですか。
浦:あと、オシャレとかも好きじゃないし。面白いと思うこともあんまりないし。心が動くことが少ないかな。だから動いたら、興奮してそれを100回でも200回でも見ちゃうけど。
内田:朝の連ドラでめちゃくちゃ泣いたりとかしてるもんね。
浦:朝ドラ、めっちゃいいわけ。NHKは本当にいい。私、多分ね、実話が好きなの。実話に基づいているものとか、結末が決まっているものが好き。ファンタジーはあんまり好きじゃないし、宇宙っぽいものも苦手。あと、ハラハラドキドキもしたくない。安心して見ていたい。
(ここで話は浦さんが一番好きなジブリ作品の話題に。氏川さんが「『平成狸合戦ぽんぽこ』」と予想するも、浦さんは「違う(笑)」と即答。「むしろ苦手」と笑いながら、その理由を明かし、3人で盛り上がります。ちなみに、浦さんが一番好きなのは、『崖の上のポニョ』だそうです)